リテラシーズ Literacies
リテラシーズ(Literacies)は,「21世紀の『日本事情』」(1~5号)の実績を踏まえ,新しいコンセプト「ことば・文化・社会の日本語教育へ」のもとで出発した研究プロジェクトです。無料で広く公開する論文誌『リテラシーズ』(年2回発行),密度の濃い研究会の開催,および単行本の発行など,「ことば・文化・社会の日本語教育へ」むけた教育研究活動を行っています。みなさまの積極的なご参加を歓迎します。
[2011年12月24日更新]
ニュース
【全文公開】『リテラシーズ』9 [2011年8月刊]
「ことば・文化・社会の日本語教育へ」むけ,リテラシーズ育成教育の最先端を掲載するUp To Dateな論文誌,『リテラシーズ』の第9巻を公開しました。
論文
- 「日本語=日本人」という規範からの逸脱 ― 「在日コリアン」教師のアイデンティティと日本語教育における戦略
- 田中里奈
(山口福祉文化大学ライフデザイン学部,早稲田大学大学院日本語教育研究科)
- キーワード:「日本語=日本人」,「在日コリアン」教師,アイデンティティ,ネイティブ,戦略
- 概要: 本稿は,「在日コリアン」として生まれ育った在韓日本語教師のライフストーリーから,「日本語=日本人」という規範が強い日本語教育において,その規範からの逸脱者がどのように自己を位置づけてきたのかを明らかにすることを目的とする。インタビューの結果,社会生活においては,「在日コリアン」というカテゴリーで括られたアイデンティティを拒絶しているにも関わらず,日本語教育の現場においては,日本語ネイティブの「在日コリアン」であることを強く表明していることが明らかとなった。そうした戦略を使わざるを得ない教師の前には,たとえ日本語のネイティブであっても,規範から逸脱しているために疎外されてしまう現実があるといえる。このことから,「日本人性」が付与された日本語の存在とそれを容認する日本語教育の実態が示唆された。
- Entry: 田中里奈(2011).「日本語=日本人」という規範からの逸脱―「在日コリアン」教師のアイデンティティと日本語教育における戦略『リテラシーズ』9,1-10.http://literacies.9640.jp/vol09.html[bibTeX]
この論文をダウンロードする
- Deviation from the criterion of “Japanese Language = Japanese People”: Identity of a “Zainichi-Korean” educator and her strategies of positioning in Japanese language teaching.
- TANAKA, Rina (Faculty of life design, Yamaguchi University of Human Welfare and Culture; Graduate school of Japanese applied linguistics, Waseda University)
English [Abstract]
- 日本国外で成長する子どもたちにとっての日本語使用経験の意味 ― 子どもたちはどのように日本語と向き合ってきたのか
- 尾関史(早稲田大学日本語教育研究センター),深澤伸子(タマサート大学教養学部),牛窪隆太(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
- キーワード:日本国外で成長する子ども,複数言語,日本語使用経験,実感,ライフストーリー
- 概要: 本研究は,日本国外で成長した若者がどのように日本語使用を経験してきたのかを,彼らの語りから明らかにすることを目的とした。語りから,他者との関係の中で実感に支えられた日本語使用経験をいかに重ねていけるかということが,彼らの日本語の学びや生き方を大きく左右していることがわかった。それゆえ,日本語教育の現場に求められるのは,自分が言いたいことや伝えたいこと,また,ありのままの自分を表現し,それが相手にも理解されたという実感に支えられた日本語使用経験の場を創っていくことであろう。
- Entry: 尾関史,深澤伸子,牛窪隆太(2011).日本国外で成長する子どもたちにとっての日本語使用経験の意味―子どもたちはどのように日本語と向き合ってきたのか『リテラシーズ』9,11-20.http://literacies.9640.jp/vol09.html[bibTeX]
この論文をダウンロードする
- The meanings of Japanese language usage of children growing up outside Japan: How they confront japanese language
- OZEKI, Fumi (Center for Japanese Language, Waseda University), FUKAZAWA, Shinko (Graduate School of Japanese Studies program, Thammasat University), USHIKUBO, Ryuta (Graduate school of Japanese applied linguistics, Waseda University)
English (Abstract)
- メトロリンガリズムと日本語教育 ― 言語文化の境界線と言語能力
- 尾辻恵美
(シドニー工科大学)
- キーワード:メトロリンガリズム,多言語・多文化,アイデンティティ,言語能力
- 概要: 本稿は,オーストラリアの職場における日本人とオーストラリア人の会話を通しての言語・文化・エスニシティ・アイデンティティの構築過程を検証し,その結果をもとに,グローバル社会における言語能力,言語教育のあり方について考察する。特に,モノリンガル的な「日本語」を他の言語文化から切り離した教育ではなく,メトロリンガルとして学習者自身に合った言語環境を構築できる能力を養成する言語教育を提案する。メトロリンガリズムとは固定・規範的な言語文化理解と,またそれを打ち破る動的な理解の相互関係から生まれる言語使用の場であり,メトロリンガル的な視野を踏まえた「言語能力」「言語教育理念」がグローバル社会における言語教育に必要であると提唱する。
- Entry: 尾辻恵美(2011).メトロリンガリズムと日本語教育―言語文化の境界線と言語能力『リテラシーズ』9,21-30.http://literacies.9640.jp/vol09.html[bibTeX]
この論文をダウンロードする
- Metrolingualism and Japanese language education: Linguistic competence across borders.
- OTSUJI, Emi (University of Technology, Sydney)
English (Abstract)
- 言語の境界を生きる ― 「母語」「母国語」「外国語」をめぐる言語意識から
- 鄭京姫
(早稲田大学大学院日本語教育研究センター)
- キーワード:中国朝鮮族日本語学習者,言語意識,境界,ライフヒストリー,アイデンティティ
- 概要: 本稿は,「母語」「母国語」「外国語」をめぐる中国朝鮮族日本語学習者の言語意識をライフヒストリーインタビューから聞き,考察を行ったものである。そこには,3つの言語に対する葛藤やアイデンティティの揺れが語られていた。しかし,その揺れを乗り越え,そのどれも「完璧」とは言えない互いの言語を補い合いながら生きる姿も見られた。さらに,「言語の境界」を生きること,「自分」にとって意味のある言語で生きることの重要性が語られ,ことばをアイデンティティの観点から捉え直すことの必要性が示唆された。
- Entry: 鄭京姫(2011).言語の境界を生きる―「母語」「母国語」「外国語」をめぐる言語意識から『リテラシーズ』9,31-40.http://literacies.9640.jp/vol09.html[bibTeX]
この論文をダウンロードする
- Living on the ‘ boundaries of language’?: From language awareness about ‘mother tongue’ ‘native language’ and ‘foreign language’
- CHUNG, Kyunghee (Center for Japanese Language, Waseda University)
English (Abstract)
以上の4本を掲載。ぜひダウンロードの上ご一読ください[バックナンバー一覧 >]。
なお,次回の投稿締め切りは,2011年10月31日(月)正午必着です[投稿案内 >]。
▲ 先頭へ
【投稿募集】2011年10月31日締切『リテラシーズ』10
「ことば・文化・社会の日本語教育へ」むけ,リテラシーズ育成教育の最先端を掲載する論文誌,『版リテラシーズ』。ますますUp To Dateな議論が展開されていく『リテラシーズ』では,「ことば・文化・社会」教育の,捉え方・思想・教育実践などについて,みなさまの新しい提言,報告,発想,ご意見等,幅広く募集しております。
- 投稿締め切り: 2011年10月31日正午(必着)
- 採否通知: 12月(予定)
- 公開: 1月末(予定)
- 投稿先アドレス:literacies@9640.jp
投稿原稿は,リテラシーズ編集委員会にて厳正な審査のうえ採否を決定し,投稿者全員に査読結果を査読コメントとあわせてお送りします。詳しくは投稿のご案内を,過去の論文はバックナンバー(全文)をご覧ください。
「ことば・文化・社会の日本語教育へ」のコンセプトに基づく,意欲的な提案をお待ちしています。
▲ 先頭へ
【好評 ― 新しい言語教育の鼓動が聞こえる】リテラシーズ叢書1『複言語・複文化主義とは何か ― ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』[2010年11月刊]
「ヨーロッパ言語共通参照枠」(CEFR)の背景にある複言語・複文化主義について,その源流を辿りつつ,欧州と日本等の状況を概観。それぞれの言語教育分野における受容と文脈化の現状について,様々な立場からの論考を収録。
- 細川英雄,西山教行(編)
- 定価: 2,520円(税込)
- ISBN: 978-4-87424-505-7 C3080
- A5/192頁,2010年11月29日発売
もくじ
- 序 複言語・複文化主義の受容と展望(西山教行)
- 第1部 複言語・複文化主義とは何か ― ヨーロッパの理念・状況から
- 欧州評議会の言語教育政策(山本冴里)
- 複言語・複文化主義の形成と展開(西山教行)
- 複言語主義理念の受容とその実態(福島青史)
- 「ヨーロッパ教育」における「複言語主義」および「複文化主義」の役割(山川智子)
- 言語教育機関におけるCEFR文脈化の意義(櫻井直子)
- 第2部 アジア・日本における受容・文脈化の現状と展望
- 「移動する子ども」として成長した大学生の複数言語能力に関する語り(尾関史,川上郁雄)
- 日本語学習者における複数のジャンルの獲得(大平幸)
- 『JF日本語教育スタンダード試行版』における複言語・複文化主義(山本冴里,新井久容,古賀和恵,山内薫)
- 多言語・多文化に開かれたリテラシー教育を目指して(福田浩子,吉村雅仁)
- 台湾の郷土言語教育が示唆すること(林初梅)
- 議論形成の場としての複言語・複文化主義(細川英雄)
- 第3部 複言語・複文化主義関連文献一覧
- 相互文化性の研究指標を求めて ― あとがきにかえて(細川英雄)
お買い求めは,全国書店・インターネット書店・くろしお出版まで
▲ 先頭へ
【好評】『変貌する言語教育―多言語・多文化社会のリテラシーズとは何か』
ことばと文化・社会,新たな言語教育へ ― 世界的な言語教育者と編者による熱き対論の行方
- 佐々木倫子・細川英雄・砂川裕一・川上郁雄・門倉正美・牲川波都季(編著)
- C.クラムシュ・J.ロ=ビアンコ・G.ザラト・M.バイラム(著)
- 定価:\2,940(税込),2007年10月19日,くろしお出版刊
- ISBN:978-4-87424-395-4 C1081
日本語教育・国語教育・外国語教育 ― 転換期を迎えた言語教育への新たな示唆。
言語教育は、ことばそのものだけではなく、文化・社会を踏まえた新たな時代を迎えている。世界的な第二言語教育学者と日本語教育界を代表する編者らによる熱き対論。
リテラシーズ国際研究集会を契機としてはじまった,これからの言語教育の一大潮流「多言語・多文化社会のリテラシーズ」。その理念,制度基盤,学習理論,そして具体的な実践までが,ここに集約。[もくじ:PDF]
お買い求めは,全国書店・インターネット書店・くろしお出版まで
▲ 先頭へ
> 過去のニュース一覧