『リテラシーズ』第22巻

第1号[2018年10月刊] 目次

研究論文
介護現場におけるコミュニケーションとは ― EPAによるインドネシア人候補者受入れ施設からの知見
小川美香(国際医療福祉大学成田キャンパス)
ジャンル理論の観点から日本語教育初級のライティングを考察する
川光真二(マサチューセッツ大学アマースト教育研究科)
書評論文
細川英雄,尾辻恵美,マルチェッラ・マリオッティ(編)『市民性形成とことばの教育―母語・第二言語・外国語を超えて』(くろしお出版)その批判的検討
名嶋義直(琉球大学グローバル教育支援機構国際教育支援部門留学生ユニット)
教育研究ノート
メッセージカードによる発表者全員へのフィードバックの試み ― 中国における日本語スピーチ大会の実践から
菅田陽平,駒澤千鶴(ともに北京大学)
人的ネットワーク構築に向けた地域日本語教育の課題 ― 公共圏と親密圏が混じり合う場をつくる
福村真紀子(早稲田大学大学院)

研究論文

介護現場におけるコミュニケーションとは ― EPAによるインドネシア人候補者受入れ施設からの知見
小川 美香(国際医療福祉大学成田キャンパス)
“Communication in” the care field in Japan: Lessons from a facility hosting Indonesian candidates through EPA
OGAWA, Mika (International University of Health and Welfare)
概要: 外国人介護人材をめぐっては言語の課題を中心に議論されてきたが,多様な入居者や職員に囲まれて専門職として職務を遂行するには現場のコミュニケーションからも捉え直す必要がある。そこで,言語や言語運用に重きを置いていた自己を振り返り,2011年にEPA(経済連携協定)による介護福祉士候補者の受入れ現場の現状を明らかにする目的で行ったフィールドワークのデータを,介護現場におけるコミュニケーションという観点から再分析した。
キーワード: 外国人介護人材,コミュニケーション,EPA,インドネシア人候補者,フィールドワーク
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ジャンル理論の観点から日本語教育初級のライティングを考察する
川光真二(マサチューセッツ大学アマースト教育研究科)
Exploring elementary-level Japanese language writing from a genre perspective
KAWAMITSU, Shinji (College of Education, University of Massachusetts Amherst)
概要: 本稿では,日本語教育初級におけるライティングの周辺的な扱われ方を問題視し,その問題に立ち向かう試みの一つとして「ジャンルアプローチ」を提案する。具体的には,まずジャンルアプローチの背景にあるジャンル理論(Genre theory)と言語使用域(Register)を説明し,ジャンルアプローチを用いた外国語教育実践例を挙げる。次に,ジャンルアプローチを日本語初級クラスに導入する上で考慮すべき点を明示しながら,可能なカリキュラム作成の一例を提示する。
キーワード: ジャンル理論,ジャンルアプローチ,言語使用域,ライティング,日本語初級
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書評論文

細川英雄,尾辻恵美,マルチェッラ・マリオッティ(編)『市民性形成とことばの教育―母語・第二言語・外国語を超えて』(くろしお出版)その批判的検討
名嶋 義直(琉球大学グローバル教育支援機構国際教育支援部門留学生ユニット)
Critical analysis of Citizenship formation and language education: Beyond native, second, and foreign language. Hosokawa, H., Otsuji, M., & Mariotti, M. (Eds.), Kurosio, 2016.
NAJIMA, Yoshinao (University of the Ryukyus)
キーワード: 市民性,社会,ことば,教育,批判的検討
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教育研究ノート

メッセージカードによる発表者全員へのフィードバックの試み ― 中国における日本語スピーチ大会の実践から
菅田 陽平(北京大学)
駒澤 千鶴(北京大学)
The use of “message cards” for giving participant feedback: A study on “Japanese speech contests” in mainland China
SUGATA, Yohei (Peking University)
KOMAZAWA, Chizuru (Peking University)
キーワード:中国の日本語教育,スピーチ大会,メッセージカード,フィードバック,アクティヴ・インタビュー
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人的ネットワーク構築に向けた地域日本語教育の課題 ― 公共圏と親密圏が混じり合う場をつくる
福村 真紀子(早稲田大学大学院)
Issues for constructing human networks in community-based Japanese language education: To make a space mixing characters of a public sphere and an intimate sphere
FUKUMURA, Makiko (Graduate School of Japanese Applied Linguistics, Waseda University)
キーワード:地域日本語教育,公共性,公共圏と親密圏,結婚移住女性,対話
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第2号[2018年12月刊] 目次

研究論文
韓国人留学生のライフストーリーに見る英語と日本語の価値
中山亜紀子(広島大学教育学研究科)

研究論文

韓国人留学生のライフストーリーに見る英語と日本語の価値
中山 亜紀子(広島大学教育学研究科)
I don’t need Japanese anymore if I can speak English perfectly: Japanese versus English in a study-abroad program in Japan
NAKAYAMA, Akiko (Hiroshima University)
概要: 日本の大学の国際化に伴い,英語を外国語として学んでいる国の留学生が,日本語ができるのにも関わらず,英語でのコミュニケーションを好む状況が散見されるようになった。なぜ英語でのコミュニケーションを好むのか。それを理解するために,英語を話す場と日本語を話す場でどのようなアイデンティティが構築されているのか,日本語を専門としている韓国人交換留学生(キムさん,仮名)のライフストーリーを用いて考察した。英語は「世界中に友達を持っている人」としてのアイデンティティと結びつき,母語話者規範を超えて,彼の意図を伝えることができる混交的なリンガフランカであった。一方日本語は「日本社会のルールを学び,それに合わせる人」としてのアイデンティティと結びついていた。英語がヘゲモニーを持つ時代における多言語化したキャンパスでの学びをより詳細に考察する必要性が示唆された。
キーワード: 留学生,留学,ライフストーリー,リンガフランカ,アイデンティティ
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