マイノリティの社会参加――障害者と多様なリテラシー

表紙

「序」より

本書のテーマは「多様なリテラシー」である。全編を通して「リテラシー」とは何かを考え,マイノリティ言語話者のリテラシーと社会参加を考える。以前は「マイノリティ」とは,在日コリアンや日系ブラジル人といった,いわゆる民族モデルを意味したが,現在は,障害,性別,年齢,人種,宗教,性的指向等にも同様に用いられている。本書では,特に「障害」を採りあげ,その世界の多様で,複雑,課題に満ちて,しかも豊かなリテラシーを見,教育と社会のあり方を考える。障害者施策,マイノリティ施策が大きく動きつつある現代にあって,障害当事者の声を出発点に,施策から教育現場までを考えたい。「障害=福祉の対象」ではなく,いきいきと自身の個性を生かしつつ社会に参加する,十全たる市民が育つことこそ,望まれる社会の姿であろう。そして,それは適切な教育のあり方,社会のあり方によって実現可能なはずである。

もくじ

  • 序 少数派のリテラシーと社会参加(佐々木 倫子)
第1部 当事者が語る教育と社会の現実
  1. ビジュアル・リテラシーの重要性――1ディスレクシア当事者の声(神山 忠)
  2. テクノロジーとリテラシーの多様性――1ロービジョン当事者の声(森田 茂樹)
  3. 聴者の家庭に生まれた1ろう者の声(小野 広祐)
  4. デフファミリーに生まれた1ろう者の声(川島 清)
  5. モンスターの分析――不確かな人類学とろうのスーパーヒーローの生い立ち(ヴァレンティ,ジョセフ M)
  6. ろう者がろう者に聞く――ろう学校でリテラシーは育成されたか(中山 慎一郎)
第2部 当事者と社会参加
  1. 当事者と非当事者(斉藤 道雄)
  2. デフ・インタープリター入門(アダム,ロバート)
  3. ろう児に対する教育政策――障害児教育かマイノリティ言語教育か(岡 典栄)
第3部 社会のバリアフリー化と多様なリテラシー
  1. 情報のユニバーサルデザイン(あべ やすし)
  2. ろう児のバイリンガル・リテラシーの育成(ガラテ,マリベル)
  3. マイノリティと多様なリテラシー(佐々木 倫子)
  • あとがき 当事者と非当事者の協働(佐々木 倫子)

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