『リテラシーズ』7 [2010年7月刊]

論文

「二分化された日本語」の問題――学習者が語る「日本語」の意味に注目して
鄭京姫(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
キーワード: 日本語学習者,日本語,ライフヒストリー,インタビュー,コミュニケーション
概要: 本稿は,一人の学習者が語る「日本語」の意味に注目し,その「日本語人生」を追ったものである。日本語学習者が語る「日本語」の実態から,日本語を学ぶことに対する意識を始め,言いたいことがあっても言えず,悩んでいるというコミュニケーションの問題がわかった。特に,コミュニケーションにおいて自分らしさを感じることができない「二分化された日本語」の問題が明らかになり,日本語教育において「自分の日本語」という概念が必要であることが示唆された。
Entry: 鄭京姫(2010).「二分化された日本語」の問題―学習者が語る「日本語」の意味に注目して『リテラシーズ』7,1-10. http://literacies.9640.jp/vol07.html [BibTeX
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The Problem of “Split Japanese”: Using Japanese Learners’ Narration Examples of “Nihongo (Selection)”
CHUNG, Kyunghee (Graduate School of Japanese
Applied Linguistics, Waseda University)
PDF English (Abstract)
認識の変容と共起する言葉の学習――意味生成の観点から
野々口ちとせ(東京国際大学言語コミュニケーション学部)
キーワード: 認識の変容,言語発達,意味生成,対話,応答的な理解
概要: 本稿では,まず,バフチンの言語論に沿って,言葉が社会的に存在し認識を支える機能を持つことを確認する。そして,言語発達を言語知識の習得ではなく,自分の生活に対する認識の変容と結びついた意味の生成と捉える。この言語観および言語発達観に基づいて,ある地域日本語教室で行われた日本語母語話者と非母語話者による対話を分析し,認識の変容とともに起こる意味生成という言葉の学習を例証する。
Entry: 野々口ちとせ(2010).認識の変容と共起する言葉の学習―意味生成の観点から『リテラシーズ』7,11-20. http://literacies.9640.jp/vol07.html [BibTeX
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Language Learning and Cognitive Change
NONOGUCHI, Chitose (School of Language Communication,
Tokyo International University)
PDF English (Abstract)
「外国語」に対して「母国語」‐「母語」の位置関係にある「X語」の提案――フランス語のlangue étrangère概念を足場として
山本冴里(早稲田大学日本語教育研究科)
キーワード: 外国語,母国語,母語,言語が結びつけられている主体,langue étrangère
概要: 本稿では,「外国語」に対して,「母国語」‐「母語」の位置関係となる「X語」が現代日本語の語彙には存在せず,「外国語」が「X語」の範囲もあわせて使用されていることと,このように「国」を強調した語の過剰使用ゆえに生じる幾つかの問題を指摘する。さらに,フランス語のlangue étrangèreを比較概念として,言語が結び付けられている主体の単位という観点から「母国語」・「外国語」・「母語」・「X語」・langue étrangèreの位置関係を整理する。以上を通して,「X語」に相当する語を作り使用していくことを提案したい。
Entry: 山本冴里(2010).「外国語」に対して「母国語」‐「母語」の位置関係にある「X語」の提案―フランス語のlangue étrangère概念を足場として『リテラシーズ』7,21-29. http://literacies.9640.jp/vol07.html [BibTeX
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“Language of the Mother Country” : “Languages of Other Countries” = “Mother tongue” : “X-language”: Comparing These Concepts with “Langue Étrangère”.
YAMAMOTO, Saeri (Graduate School of Japanese Applied
Linguistics, Waseda University)
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教育研究ノート

「学習者ニーズ」再考――成人教育学における議論を手がかりに
牛窪隆太(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
キーワード: 学習者ニーズ,成人教育学,教育実践,教師の表明
概要: 本稿では日本語教育において80年代以降主張されるようになった「学習者のニーズ」を再考することを試みる。その際に手がかりとするのが,成人教育学での議論である。成人教育学において主張された教育の「社会性」「歴史性」の議論を基に,「ニーズ」と「関心」の観点から,従来のニーズ論を批判的に検証する。その上で,学習者のニーズと教育実践における教師の教育観は切り離されるべきものであることを主張し,新たな展開を迎える日本語教育におけるニーズの捉え方を述べる。
Entry: 牛窪隆太(2010).「学習者ニーズ」再考―成人教育学における議論を手がかりに『リテラシーズ』7,31-36. http://literacies.9640.jp/vol07.html [BibTeX
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Reconsidering“ Leaners’ Needs”: With Reference to Debates in Adult Education
USHIKUBO, Ryuta (Graduate school of Japanese applied
linguistics, Waseda University)
PDF English (Abstract)
北海道,樺太,千島の先住民に対する日本語教育とその日本語教育史研究における位置
さかたあつよし(フリー,東京都稲城市)
キーワード: 日本語教育史研究,先住民,中立性,機能的識字,再生産,〈暴力〉のメタファー
概要: 日本語教育史研究は,外国人による日本語研究,あるいは外国人に対する日本語教育という単一の概念に縛られることなく,様々な立場の日本語話者や学習者や教師が国の内外に存在したという事実を踏まえ,広く異文化接触の起こる現場での教育や学びに目をむけた研究として発展することが求められている。
本稿では,従来の日本語教育史研究でとりあげられることの稀だった北海道,樺太,千島の先住民に対する日本語教育に焦点をしぼり,日本語教育史のなかで,それがどのように語られるべきか,そしてそれはなぜかということについて論じた。さらに,日本語教育史研究が,今各所で行われている教育実践にどのような示唆を与えうるかについて考察した。
Entry: さかたあつよし(2010).北海道,樺太,千島の先住民に対する日本語教育とその日本語教育史研究における位置『リテラシーズ』7,37-41. http://literacies.9640.jp/vol07.html [BibTeX
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The Important Position of the Japanese Language Education for the Indigenous People of Hokkaido, Sakhalin and the Kuril Islands.
SAKATA, Atsuyoshi (Free Lance. Inagi City, Tokyo)
PDF English (Abstract)

書評

「移動する時代」の言語教育実践者の立ち位置について再考する
矢部まゆみ(横浜国立大学)
書名: 川上郁雄(編)(2009).『海の向こうの「移動する子どもたち」と日本語教育――動態性の年少者日本語教育学』明石書店.
Entry: 矢部まゆみ(2010).書評:「移動する時代」の言語教育実践者の立ち位置について再考する―川上郁雄(編)(2009).『海の向こうの「移動する子どもたち」と日本語教育―動態性の年少者日本語教育学』明石書店『リテラシーズ』7,31-36. http://literacies.9640.jp/vol07.html [BibTeX
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Reconsidering Stance of Language Teachers in The Age of“ Boarder Crossing”
YABE, Mayumi (Yokohama National University).
PDF English (Abstract)

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