「リテラシーズ」に新しい風を!――編集体制拡充のお知らせ

「リテラシーズ(Literacies)」は,『21世紀の「日本事情」』(1~5号:くろしお出版)の実績を踏まえ,新しいコンセプト「ことば・文化・社会の日本語教育へ」のもとで2005年に出発した研究プロジェクトです。無料で広く公開する論文誌『リテラシーズ』(年2回発行)密度の濃い研究会の開催,および単行本の発行など,「ことば・文化・社会の言語教育へ」むけた教育研究活動を行っています。

ここ数年で,論文誌『リテラシーズ』は第4号を以って紙媒体による供給を廃止し,すべてWEB版での刊行となると同時に,異なる分野・領域の人材を巻き込んだ新しい形態の研究集会の開催や出版活動を行うなど,編集メンバーそれぞれの立場から多角的な展開をしはじめました。そこでは,「リテラシーズ」という名を冠した集団の枠を超えて,言語教育全体の新しい発展としての活動を広げてきています。研究集会としては,2009年度は「複言語・複文化主義と言語教育」を,2011年度は「『移動する子どもたち』のことばとアイデンティティ」をそれぞれテーマとし,今後もひきつづきテーマについて深い議論の場を形成する研究集会を継続的に開催していきます。これら研究集会の議論は,すでに『複言語・複文化主義とは何か―ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』(くろしお出版)として出版し,2012年度には『「移動する子どもたち」のことばとアイデンティティ』(仮題)が出版予定であるなど,「リテラシーズ叢書」(くろしお出版)として順次公刊していきます。

こうした一連の活動を踏まえつつ,リテラシーズの今後を見通したとき,より若い世代の新しいメンバーの編集委員会への加入が重要であると考えます。社会的,思想的な状況の変化の中で,その時々の変容を正面から受け止め,大きな観点からことばの教育をめぐる諸問題に鋭く切り込んでいくためには,次世代の若い教育研究者の参加が必須の条件となります。エネルギーあふれる若きメンバーを加えることにより,現在の「リテラシーズ」風土に新しい風を呼び入れ,教育研究活動としての,大きく飛躍を企画しようと考えるからです。

そこでこのたびリテラシーズでは,編集委員として下記の4名を新たに迎えることとなりました。この4名の選定にあたっては,まず現編集委員から推薦理由書を募って,これを元に新委員候補を合議によって選定し,うち全ての候補者がリテラシーズ編集委員への着任を受諾したものです。

「リテラシーズ」の友好的かつ緩やかな連帯は,今,更なる展開を求めて動き出そうとしています。みなさまには引き続き,リテラシーズの活動への積極的なご参加をお願い致します。

2012年2月:リテラシーズ編集委員会

リテラシーズ新編集委員(50音順)

佐藤慎司(プリンストン大学)
研究テーマ: ことばの教育における対話・恊働・自己実現、言語学習者と「アイデンティティー」
主な業績:
ひとこと: みなさんと何か新しい理論,アプローチ,実践などが生み出せたらと思っています。
西山教行(京都大学大学院人間・環境学研究科)
(~2015年度いっぱいまで)
研究テーマ: 複言語主義,言語教育政策,フランス語教育学,フランス語教育・普及史などが主な研究領域です。
主な業績:
ひとこと: 言語教育がどのような政治性を内在しているのか,その歴史や現在に関心があります。よろしくお願いします。
三代純平(徳山大学経済学部:当時)
研究テーマ: 留学生のライフストーリー,日本語教育における実践研究,日本事情教育
主な業績:
  • 三代純平(2008).専門学校におけるクラス・コミュニティへの参加の意味――日本語支援の目的と方法の転換『WEB版リテラシーズ』5(2),1-9.http://literacies.9640.jp/vol05.html
  • 三代純平(2009).韓国中等教育における「考えること」の意義――外国語高校の卒業生は日本語授業で何を学んだのか.川上郁雄(編)『海の向こうの「移動する子どもたち」と日本語教育』(pp. 156-175)明石書店.
  • 三代純平(2011).「場」としての日本語教室の意味――「話す権利」の保障という意義と課題.細川英雄(編)『言語教育とアイデンティティ――ことばの教育実践とその可能性』(pp. 75-97)春風社.
ひとこと: 『リテラシーズ』の前身である『21世紀の「日本事情」』(くろしお出版)の議論に触発され,日本語教育の研究者になることを決めました。あのラディカルな議論を継続,発展させていきたいと考えております。
森本郁代(関西学院大学法学部)
(~2015年度いっぱいまで)
研究テーマ: 会話コミュニケーションにおける人々のふるまいに影響を与える社会的規範の解明
主な業績:
  • 森本郁代(2001).地域日本語教育の批判的再検討――ボランティアの語りに見られるカテゴリー化を通して.野呂香代子,山下仁(編)『「正しさ」への問い――批判的社会言語学の試み』(pp. 215-247)三元社.
  • 森本郁代(2009).伝達から対話へ――大学での日本語教育の現場から.水谷修(監),小林ミナ,衣川隆生(編)『日本語教育の過去・現在・未来 第3巻 教室』(pp. 119-141)凡人社.
  • 森本郁代,大塚裕子(編)(印刷中).『自律型対話プログラムの開発と実践』ナカニシヤ出版.(2012年2月刊行予定)
ひとこと: リテラシーズを通して多くの刺激が得られることをとても嬉しく思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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