『WEB版リテラシーズ』6

『WEB版リテラシーズ』6(2) [2006年12月刊]

論文

複言語状況におけるブリコラージュが意味するもの――工学系の2つの共同体における事例から
村田晶子(コロンビア大学教育大学院)
キーワード: ブリコラージュ,寄せ集め,戦略
概要: 人の国際移動が加速化する中,異なる言語や文化を持つ人々がコミュニケーションを取り合い,相互理解を進めていくためには,1つの言語だけでなく,複言語,複文化その他のリソースを動員してコミュニケーションを取ることが求められる。本稿では,日本語の第二言語話者が取るそのような行為を,人類学において広く使われているブリコラージュ(Lévi-Strauss,1962/1966)という概念を用いて分析する。具体的には,大学院のゼミ,そしてITの職場において,留学生や外国人エンジニアが複言語,複文化,その他のリソースなど,使うことができるあらゆるリソースを寄せ集めコミュニケーションを取っている事例を分析し,ブリコラージュの実践がもたらす可能性を照射するとともにその実践の持つ難しさも分析する。
Entry: 村田晶子(2009).複言語状況におけるブリコラージュが意味するもの―工学系の2つの共同体における事例から『WEB版リテラシーズ』6(2),1-9. http://literacies.9640.jp/vol06.html [BibTeX
PDF この論文をダウンロードする
The Meaning of Bricolage in Pruli-lingual Situations: The Analysis of Two Engineering Communities.
MURATA, Akiko (Teachers College, Columbia University).
PDF English (Abstract)
プロセス的評価,主体的評価はどのような授業設計で可能か――学習者と教師が共に評価について考える意味をめぐって
市嶋典子(早稲田大学日本語教育研究センター)
キーワード: プロセス的評価,主体的評価,評価基準,相互自己評価活動,実践研究
概要: 本稿では,活動の一部として相互自己評価活動を組み込んだ日本語教育実践の分析を通して,教師と学習者が,いかに評価活動に関わったのかという実態を明らかにし,関係性を重視したプロセス的評価,主体的評価はどのような授業設計で可能なのか考察した。本分析を通して,教師と学習者,学習者間の評価観の異なりと衝突が契機になり,評価の意義が問い直され,評価基準が更新・共有されていったプロセスを示す。さらに,授業設計においては,教師にのみ許されていた評価基準の決定権を崩すこと,教師と学習者達の多様な解釈と価値観が交換しあえる場を設計することが重要な要素になることを主張する。
Entry: 市嶋典子(2009).プロセス的評価,主体的評価はどのような授業設計で可能か―学習者と教師が共に評価について考える意味をめぐって『WEB版リテラシーズ』6(2),11-20. http://literacies.9640.jp/vol06.html [BibTeX
PDF この論文をダウンロードする
Which Class Design can Accommodate both Process and Independent Evaluation?: The Value and Significance of Evaluation for Learner and Teacher.
ICHISHIMA, Noriko (Research Associate Center for
Japanese Language Waseda University).
PDF English (Abstract)

教育研究ノート

複合アイデンティティと日本語教育研究
羽鳥(江頭)玲子(津田塾大学大学院文学研究科)
キーワード: 複合アイデンティティ,批判的日本語教育,権力,本質主義批判,言語・言説実践
概要: 権力関係に敏感な批判的日本語教育の立場から,本質主義批判に有効な概念として「複合アイデンティティ」を日本語教育研究に導入することを提案する。権力関係の中での言語・言説実践による構築物としてアイデンティティを捉える同概念の特徴と強みを整理し,今後の日本語教育研究における同概念援用の方向性について考える。
Entry: 羽鳥(江頭)玲子(2009).複合アイデンティティと日本語教育研究『WEB版リテラシーズ』6(2),21-26. http://literacies.9640.jp/vol06.html [BibTeX
PDF この論文をダウンロードする
A Call to Introduce the Post-Structuralist Notion of Identities to Studies of Japanese as a Second Language in Japan.
HATORI (EGASHIRA),Reiko (Graduate Program in English
Language and Literature,Tsuda College)
PDF English (Abstract)

▲ 先頭へ

『WEB版リテラシーズ』6(1) [2009年6月刊]

論文

共生日本語教育」における参加者の積極的共生態度の検証――PAC分析から見た意義と課題
半原芳子(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科,AOTS横浜研修センター)
キーワード: 多言語多文化共生社会,地域日本語教育,相互学習,内容重視の第二言語教育,積極的共生態度
概要: 本稿では,日本語母語話者住民と非母語話者住民の相互学習の一つである「共生日本語教育」(岡崎,2002)の実践を検証した。具体的には,教室への参加を通じ,自身の問題の解決に向け積極的な態度を示すようになった台湾出身の母親に着目し,その態度の実態をPAC分析(内藤,1997)で探った。結果,問題に対する積極的な姿勢と同時に不安と困難を示すクラスターが確認された。このことから,共生日本語教育の意義と課題を整理した。
Entry: 半原芳子(2009).「共生日本語教育」における参加者の積極的共生態度の検証―PAC分析から見た意義と課題『WEB版リテラシーズ』6(1),1-10. http://literacies.9640.jp/vol06.html
PDF この論文をダウンロードする
Positive attitude toward multicultural society by a participant of a multiculturally oriented JSL program: Significance and issues discovered through PAC analysis
HANBARA, Yoshiko (Graduate School of Humanities and Sciences,
Ochanomizu University. AOTS Yokohama Kenshu Center)
PDF English (Abstract)
Discussion on the concept of ‘Criticality’
YAMADA, Etsuko (Faculty of Liberal Arts, Sophia University)
Key words: beginners’ language studies, criticality, educational aims, higher education, skepticism
Abstract: This study investigates the concept of ‘criticality’ from two perspectives: an empirical study conducted in beginners’ Japanese language courses at a British University and a theoretical study based on Critical Pedagogy and Critical Thinking. Skepticism was identified as a fundamental nature of criticality and it can be developed to some extent in the grammar based courses. It is implied that beginners’ language studies can be located under the roof of higher education aiming at criticality development.
PDFDownload
Entry: Yamada, E. (2009). Discussion on the concept of ‘Criticality’. Literacies WEB Journal, 5(2), 11-21. http://literacies.9640.jp/vol06.html
「クリティカリティ」という概念の考察
山田悦子(上智大学国際教養学部)
PDF概要(日本語)

▲ 先頭へ