『WEB版リテラシーズ』2
『WEB版リテラシーズ』2(2) [2005年12月刊]
論文
- 戦後の日本語教育における思想的「連続性」の問題――日本語教科書に見る「国家」,「国民」,「言語」,「文化」
- キーワード: 教育内容,内容分析,「括り」,日本語教科書,思想的「連続性」
- 概要: 本稿は,日本語教科書を対象に通時的に内容分析を行い,戦後の日本語教育における,「国家」,「国民」,「言語」,「文化」に関する教育内容の変遷を明らかにしたものである。その結果,4つの時期区分から成る教育内容の変遷が得られた。しかし,同時に,個々の記述の質的分析により,そうした教育内容の「変化」の根底には,「国家」,「国民」,「言語」,「文化」に関して,個々の中身を固定化し,その外側の「括り」を絶対化する思想的「連続性」が存在していることも明らかとなった。今後はその表面的な「変化」は何によってもたらされ,また,その根底にある思想的「連続性」は何によって維持されているのかを明らかにしていく必要がある。
- Entry:田中里奈(2005).戦後の日本語教育における思想的「連続性」の問題―日本語教科書に見る「国家」,「国民」,「言語」,「文化」『WEB版リテラシーズ』2(2),1-10. http://literacies.9640.jp/vol02.html#tanaka
- Problematic continuity over the postwar period in an ideological realm of japanese language teaching: contents analysis of “State”, “Nation”, “Language” and “Culture” in textbooks. / TANAKA, Rina.
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- 『欧州共通参照枠』における agent/acteur の概念について
- キーワード: 言語教育,学習者,agent social, acteur social,文化間仲介者
- 概要: 外国語学習者に対する新しい定義として『欧州共通参照枠』英語版にはsocial agent,仏語版にacteur socialがそれぞれ導入された。仏語において現在流通するagentとacteurの差異を考慮した上で学習者をあえてacteurと呼ぶのであれば,目標社会における行動の枠組みをあらかじめ規定して,彼らをそこに閉じ込めることはできない。言語教育の責任はむしろ,用意された規定の恣意性を明らかにしながら,学習者それぞれの内にもある所属社会・目標社会に関する恣意的な規定に,彼ら自身で気づく権利を返すことにあるだろう。
- Entry:姫田麻利子(2005).『欧州共通参照枠』における agent/acteur の概念について『WEB版リテラシーズ』2(2),11-18. http://literacies.9640.jp/vol02.html#himeta
- On the concepts of “agent/acteur” introduced in Common European Framework of Reference for Languages. / HIMETA, Mariko
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- 韓国外国語高校における批判的日本語教育の試み
- キーワード: 外国語高校,批判的日本語教育,意識化,学校,学び
- 概要: 本稿は,韓国にある外国語高校における日本語教育の実践報告である。まず,韓国の高校教育,特に外国語高校における日本語教育の教育目標として野元(1996)が提唱する批判的日本語教育の理念を取り入れる意義について述べる。そこで,日本語教育を通じて世界を批判的に読み,現実社会で直面する課題を解決する力を育成する必要性を論じる。さらにその力の育成を目標として筆者が2004年度に行った実践「学校で何を学ぶか」を紹介・考察する。考察では,学習者4名の「学校で何を学ぶか」に関するレポートの考察を通して,彼らの個別の学びのあり方を紹介すると共に,「学び」を批判的に再考するためには,その「方法」と「質」を問い直すことが重要であることを明らかにする。
- Entry:三代純平(2005).韓国外国語高校における批判的日本語教育の試み『WEB版リテラシーズ』2(2),19-27. http://literacies.9640.jp/vol02.html#miyo
- The Attempt of Critical Japanese Language Education in a Foreign Language High School in Korea. / MIYO, Junpei
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書評
- 慣習と創造活動の間で――『考えるための日本語』を読んで
- 出典: 細川英雄,NPO法人「言語文化教育研究所」スタッフ(2004).『考えるための日本語――問題を発見,解決する総合活動型日本語教育のすすめ』明石書店.
- Entry:佐藤慎司(2005).慣習と創造活動の間で―『考えるための日本語』を読んで『WEB版リテラシーズ』2(2),28-32. http://literacies.9640.jp/vol02.html#satou
- Between Convention and Creativity. / SATO, Shinji
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『WEB版リテラシーズ』2(1) [2005年7月刊]
論文
- 母語話者による非母語話者のステレオタイプ構築――批判的談話分析の観点から
- キーワード: ステレオタイプ,定住型日本語非母語話者,他者,差異,批判的談話分析
- 概要: 本稿では,母語話者と非母語話者の共生を目指す相互学習型活動の場を対象に母語話者による非母語話者のステレオタイプ構築に注目し,それが両者の相互行為に与える影響について論じる。Hall (1997)が提案する表象行為としてのステレオタイプの枠組みに基づき,批判的談話分析の方法論を用いて分析し,考察を述べる。そして,このようなステレオタイプに対するリテラシーが現在の地域の日本語教育にとって重要な課題であることを主張する。
- Entry:Ohri Richa(2005).母語話者による非母語話者のステレオタイプ構築―批判的談話分析の観点から『WEB版リテラシーズ』2(1),1-9. http://literacies.9640.jp/vol02.html#ohri
- Stereotyping of non-native speakers by native speakers of Japanese: A critical discourse analysis approach. / Ohri Richa
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- 討論
- 編集委員からの2つの「論点」/「リテラシーズ」編集委員会
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- 編集委員からの2つの「論点」について/
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