『リテラシーズ』18 [2016年3月刊]

目次

研究論文
「移動する女性」の「複言語育児」――在アイルランドの在留邦人の母親達のライフストーリーより
稲垣みどり(早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科)
口頭発表の授業実践で見られた対話と学習者の変化
齊藤聖菜(名古屋大学)
教育研究ノート
台湾の高齢者デイケアセンターにおける「ケア」の意味――ことばを通した人間性回復の場
佐藤貴仁(早稲田大学日本語教育研究センター)
市民性形成をめざす言語教育とは何か
細川英雄(言語文化教育研究所八ヶ岳アカデメイア)
フィリピンの中等日本語教育の現状と課題――日本語の授業を通しての「21世紀型スキル」の育成とその実際
松本剛次(早稲田大学)
インターンシップ参加による「職場リテラシー」の学び
横須賀柳子(国士舘大学政経学部)
日本語学習者が出会う「他者」とは誰か――フランスの大学における「『日本』のイメージ」をめぐる学習者の対立事例の考察
原伸太郎(シャルルドゴール・リール第三大学)
書評論文
日本語教育がうきぼりにする戦後日本史――山本冴里『戦後の国家と日本語教育』(くろしお出版2014年6月,A5判/p.360)
ましこ・ひでのり(中京大学国際教養学部)
理念なき日本語教育への批判と価値の創造への挑戦――市嶋典子『日本語教育における評価と「実践研究」―対話的アセスメント:価値の衝突と共有のプロセス』ココ出版,2014
広瀬和佳子(神田外語大学)

研究論文

「移動する女性」の「複言語育児」――在アイルランドの在留邦人の母親達のライフストーリーより
稲垣 みどり(早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科)
Plurilingual child-rearing of women crossing border: From the lifestory interviews with Japanese mothers raising their children in Ireland
INAGAKI, Midori (Waseda University, Tokyo, Japan)
概要: 本稿は海外の複数言語環境で子どもを育てる在留邦人の女性達を,自らの主体的な意思のもとに海外に移住した「移動する女性」と捉え,その複数言語を介した育児の在りようを「複言語育児」の概念を立てて論じる。事例としてアイルランドに居住する在留邦人の母親達へライフストーリー法インタビューを実施した結果,母親達の自らの「移動」を軸とした人生の経験と記憶を参照しつつ実践する「複言語育児」の在りようが明らかになった。
キーワード:海外在留邦人,「移動する女性」,「複言語育児」,ライフストーリー
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口頭発表の授業実践で見られた対話と学習者の変化
齊藤 聖菜(名古屋大学)
Dialogue and changes of a learner in an oral presentation course
SAITOH, Seina (Graduate School of Languages and Cultures, Nagoya University, Aichi, Japan)
概要: 本稿では学習者が持つ信念や視点を「声」(矢部,2004)と呼び,対話によって「声」を編成できるよう設計された口頭発表の授業における学習者の対話と変化を分析した。学習者1名を事例に第三者の立場で分析し,「声」の編成には学習者が他者の「声」も参照しながら自己と対話するステップが重要であることを明らかにした。結果から,教師は学習者の内部で生じる対話と変化も敏感に感じ取っていくべきであるという実践の課題を指摘した。
キーワード:教室での対話,協働,自己評価,相互評価,口頭発表
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教育研究ノート

台湾の高齢者デイケアセンターにおける「ケア」の意味――ことばを通した人間性回復の場
佐藤 貴仁(早稲田大学日本語教育研究センター)
The meaning of the word “caring” in a Taiwanese adult day care center: The community of reviving humanity through their own language
SATO, Takahito (Waseda University, Tokyo, Japan)
キーワード:傾聴,日本統治における台湾,ケア,ことば,人間性の回復
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市民性形成をめざす言語教育とは何か
細川 英雄(言語文化教育研究所八ヶ岳アカデメイア)
What is the language education that aims to citizenship formation?
HOSOKAWA, Hideo (Gengo Bunka Kyoiku Institute, Yamanashi, Japan)
キーワード:ことば,個人,社会,教育,未来
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フィリピンの中等日本語教育の現状と課題――日本語の授業を通しての「21世紀型スキル」の育成とその実際
松本 剛次(早稲田大学)
The present situation and problems about the Japanese language education of the secondary schools in Phillipine
MATSUMOTO, Koji (Graduate School of Japanese Applied Linguistics, Waseda University, Tokyo, Japan)
キーワード:フィリピン,K-12,21世紀型スキル,構成主義的アプローチ,多声的な対話
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インターンシップ参加による「職場リテラシー」の学び
横須賀 柳子(国士舘大学政経学部)
Acquisition of“ workplace literacy” in internship
YOKOSUKA, Ryuko (Kokushikan University, Tokyo, Japan)
キーワード:学び,状況,ことば,他者,職場リテラシー
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日本語学習者が出会う「他者」とは誰か――フランスの大学における「『日本』のイメージ」をめぐる学習者の対立事例の考察
原 伸太郎(シャルルドゴール・リール第三大学)
Who is“ the Other” whom learners of Japanese language meet in the classroom?: A case study of the conflict between students in the activity to tell “The image of JAPAN for us” practiced in a specialty course of Japanese at a university in France
HARA, Shintaro (Université Lille 3, Charles-de-Gaulle, France)
キーワード:「文化」の境界線,多様性の隠蔽,「個の文化」,「他者」との出会い,自分を語る必然性
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書評論文

日本語教育がうきぼりにする戦後日本史――山本冴里『戦後の国家と日本語教育』(くろしお出版2014年6月,A5判/p.360)
ましこ・ひでのり(中京大学国際教養学部)
Japanese language education reveals an aspect of Japanese history in the post-World War II Era: YAMAMOTO Saeri, Japanese language education in the Diet deliberations: 1946-2010
MASIKO, Hidenori (School of International Liberal Studies, Chukyo University, Aichi, Japan)
キーワード:(国会)議事録,教育政策,政治性,境界線,読者層
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理念なき日本語教育への批判と価値の創造への挑戦――市嶋典子『日本語教育における評価と「実践研究」―対話的アセスメント:価値の衝突と共有のプロセス』ココ出版,2014
広瀬 和佳子(神田外語大学)
Criticism of Japanese language education as lacking a philosophy and the challenge of creating value: Noriko Ichishima. (2014). Evaluation and practical studies in Japanese language education: Dialogue assessment: A process of value conflict and sharing. Tokyo: Coco Publishing.
HIROSE, Wakako (Kanda University of International Studies, Chiba, Japan)
キーワード:評価,実践研究,日本語教育,対話,アセスメント
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